日本の酒税法では、「リキュール類とは、酒類と糖類その他の物品(酒類を含む)を原料とした酒類で、エキス分が2%以上のものをいう。ただし、清酒、合成清酒、しょうちゅう、みりん、ビール、果実酒類(果実酒、甘味果実酒)、ウイスキー類(ウイスキー、ブランデー)、スピリッツ類、および発泡酒に該当するものは除かれる」となっている。
しかしこれでは、醸造酒をベースにしたものと、蒸留酒をベースにしたものとが混在していることになる。リキュールはスピリッツ(蒸留酒)がベースという一般的な認識とは懸け離れていると思われる方も多いだろう。
他の国ではどうなっているのか、ご存知だろうか。
欧米では、ビールをベースにしたらビールの一種、ワインをベースにしたらワインの一種と考え、醸造酒ベースの混成酒は醸造酒の一種と見なすのが一般的である。つまり、リキュールはスピリッツをベースにしたものと考えられている。
フランスでは、「草根木皮、果実、果皮、花、穀物などをアルコールのなかに煎じるか、または浸漬した液体、あるいはその液体を蒸留した液体、またはそれぞれを調合した液体であって、砂糖などで甘味が加えられ、アルコール分が15%以上のものをいう」ということだ。
ちなみにEU(ヨーロッパ連合)の場合、1989年にCEE(Communaute economique europeenne)の委員会で以下の規制(reglement)が定められた。「アルコール分15%以上の飲み物を、酒精飲料(ボアソン・スピリチュオーズ/boisson spiritueuse)と称する。その酒精飲料のうち、糖分を1L当たり100g以上含むものをリキュールとし、1L当たり250g以上含むものは、原料名の前にクレーム・ド/creme de という名称を用いてよろしい。ただし、クレーム・ド・カシス/creme de cassisのみは、1L当たり400g以上とする。また、アドヴォカートについては、砂糖または蜂蜜が1L当たり150g以上、卵黄が1L当たり140g以上含まれていなければならない」
アメリカでは、「砂糖2.5%以上を含み、アルコール、ブランデー、ジン、その他のスピリッツを用い、果実、花、生薬、ジュース、あるいは天然フレーバーを使ってつくったアルコール飲料」となっている。そのうえで国内産であれば、リキュールではなくコーディアル/cordialという呼び方をすることが多い。さらに、製造時に天然フレーバーではなく合成フレーバーを使用した場合には、アーティフィシャル/artificialという表記を追記しなければならない。
リキュールとは何か? このように国によって定義は異なっているが、リキュール=スピリッツ+香味成分(+甘味料+着色料)と答えておくのが、通のたしなみではないだろうか。
注)フランス語の『e』の上に『´』(アクサン)がつく文字は『e』と、フランス語特有の文字は一部省略して表記しています。