焼酎も内容的にはれっきとしたスピリッツである。が、酒税の関係で酒税法上は別の区分になっている。それでも日本のスピリッツとして取り上げてみたい。
焼酎は、アルコール含有物を蒸留した日本産の蒸留酒で、甲類と乙類の二つに分類されている。
甲類は、アルコール含有物を連続式蒸留機で蒸留したもので、そのアルコール度数が36度未満のものをいう。精巧な連続式蒸留機を使用するので、ライトな風味の酒になる。コストの点から糖蜜を原料に使うことが多いが、イモ類や穀類を使うこともある。これらを発酵・蒸留して得られたアルコール度数85〜97度の蒸留液に加水して、36度未満で製品化する。
乙類は、アルコール含有物を連続式蒸留機以外の蒸留機で蒸留したもので、アルコール度数が45度以下のものである。蒸留機としては、現実には、単式蒸留機が使われている。本格焼酎とも呼ばれて、九州南部や南西諸島が主な産地となっている。単式蒸留機を使うため、エチル・アルコール以外の成分も数多く含まれ、原料の違いがそのまま風味の違いとなって出てくる。一般的に風味はヘビーである。
原料の違いから焼酎乙類を区分すると、泡盛、もろみ取り焼酎(芋焼酎、米焼酎、麦焼酎、蕎麦焼酎、黒糖焼酎)、粕取り焼酎の3タイプに分かれる。
泡盛は、言わずと知れた沖縄特産。黒麹菌を繁殖させた米麹だけでつくられる。土中に埋めたカメで長期熟成させたものをクース(古酒)といって特に珍重されている。
もろみ取り焼酎は、米麹のもろみに、芋、米、麦、蕎麦、黒糖糖蜜などを加え、発酵・蒸留したもの。芋焼酎なら鹿児島県、米焼酎は球磨焼酎の熊本県球磨地方、麦焼酎なら壱岐、蕎麦焼酎の宮崎県、黒糖焼酎は奄美大島、など各地の特産となっているものが多い。
粕取り焼酎は、清酒を絞った残り粕に、もみがらを混ぜ、せいろに並べて蒸気を通し、粕の中のアルコールを回収したもの。もみがらの焦げ臭がついた強烈な香味を持つ焼酎である。地方によっては早苗饗(さなぶり)焼酎と呼ぶこともある。