ライト・ラム、ヘビー・ラム、ミディアム・ラム、今回はそれぞれの産地についての話である。
ライト・ラムづくりの発端になった連続式蒸留機の導入が19世紀の半ば過ぎ。その生産に当初から取り組んだのが、キューバに工場を持っていたバカルディ社である。それから主にスペイン系の植民地に広がっていき、プエルトリコ、バハマ、キューバ、メキシコなどが今でもライト・ラムの主生産地となっている。
ヘビー・ラムは、イギリス系植民地で発展してきた。ジャマイカ、ガイアナなどが主生産地である。
ミディアム・ラムは、フランス系植民地で発展してきた。フランスの海外県であるマルチニック島、グァドループ島などが主生産地になっている。
ちなみにフランス系ラムのタイプは2つに分かれる。アグリコール(agricole:農業生産品の意)とアンデュストリエル(industriel:工業生産品の意)の2つである。アグリコールは、サトウキビの搾り汁をそのまま水で薄めてつくったラム。アンデュストリエルは、搾り汁から砂糖の結晶を除去した糖蜜からつくったラム。アグリコールの表記のないラベルのラムは、ほとんどがアンデュストリエルである。両者ともにオーク樽で3年以上熟成したものは、ヴィユー(vieux:オールドの意)と表記できるようになっている。