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[ コラム ] 6月-5-2009

 テキーラの原料であるアガベ・アスール・テキラーナは、生育に8〜10年ほどかかる。アスール(azul)とは、スペイン語で「青い」という意味で、葉が青緑色をしているところから名付けられたという。さて、どうやってテキーラがうまれるのだろうか。

 生育したアガベ・アスール・テキラーナの葉をそぎ落とし、直径70〜80cm、重さ30〜40kgになった球茎を掘り起こす。形状としては、パイナップルの実を丸くして、何十倍にも大きくしたと考えると分かりやすい。畑から工場に運んだら、半分に割ってから蒸気釜に入れる。昔は石室で蒸気蒸しにしていたらしい。そうやって、茎に含まれるでんぷんやイヌリンなどの多糖類を分解して糖化するのだ。その後、ローラーをかけて粉砕、圧縮し、さらに温水をかけて残った糖分を搾り出し、糖汁液だけをタンクに移して発酵させている。昔は、石臼をロバに引かせて押しつぶしたものを粕ごと発酵させていたようだ。

 蒸留は単式蒸留機で2回行われて、2回目の中留部分だけをとって50〜55度の留液を得る。この留液をウォッカと同様に炭層を通して雑味を除き、ステンレス・タンクあるいはオーク樽に移す。ちなみに55度以上で留液を取ることは、法律で禁じられている。

 現地でテキーラ・ブランコ、英語でホワイト・テキーラと呼ぶ、シャープな香りのテキーラらしい特徴を一番備えているタイプは、ステンレス・タンクに移されて短期熟成をさせ、加水して製品化したものである。

 オーク樽の移されるタイプは、2か月以上樽熟成をさせるとゴールド・テキーラ、別名テキーラ・レポサド(Tequila Reposado)というほのかに樽香を含み、わずかに黄色味を帯びたタイプになる。さらに1年以上熟成させたものは、テキーラ・アニェホ(Tequila Anejo)と呼ばれ、樽の香りが加わってまろやかな風味が特徴になり、テキーラ独特の強靭さや鋭い芳香が薄いタイプになる。