健康増進と強壮効果によってマヤ人もアステカ人もホットチョコレートには魔法の力があると考えていた。
マヤ人はカカオの神を崇拝し、この飲み物を多くの儀式で使っていた。結婚式では新郎新婦はチョコレートドリンクを交わし、子供はカカオ水で洗礼を受けていたという。年に一度、生贄の儀式があったアステカでは、死の直前の数週間は生贄に選ばれた者に精神安定剤としてチョコレートドリンクが与えられたそうだ。
アステカ人がスペイン人植民者にチョコレートが健康に良いと教えたことによって、チョコレートドリンクはヨーロッパに伝わった。
スペイン国王フェリペ2世の主治医フランシスコ・フェルナンデスは、解熱剤や腹痛治療、猛暑時の冷却用としてチョコレートを勧めたという。それ以外にも消化促進剤としても飲まれたようだ。1650年頃にはイギリスに伝わったといわれ、病気回復、体力維持にも効果があるとされた。
19世紀にはフランスに伝わり、ショコラティエで薬剤師でもあったドゥボーブ・エ・ガレがピストル型の薬としての効用のあるチョコレートを販売して有名になった。医者にも支持されて、神経性胃炎、食事療法、真性コレラの予防、回復期の健康増進に使われるようになった。
もちろん、現代においてもカカオ・ポリフェノールの効果として、抗酸化作用、脳の活性化作用、抗うつ効果、心臓病予防などが話題になっているのはご存じの通りである。