名前の由来は、その販売方法にある。18世紀にロンドンで販売機を置く際に、一風変わった猫の姿の販売機を置いた。猫の口にコインを入れると足から甘口のジンが出てくる仕掛けであり、これが大ヒットとなった。
このジンは、基本的な製法はドライ・ジンとまったく同じで、砂糖を2%程度加えて甘口に仕上げたジンである。当時はまだ雑味が多く、飲みやすくするために砂糖で甘味づけが行われていた。甘口のジンと猫の姿をした販売機。オス猫をトム・キャットと呼ぶことから、この甘口のジンをオールド・トム・ジンと呼ぶようになった。
今では辛口のジンが主流であるため、オールド・トム・ジンの重要は少なくなっている。オールド・トム・ジンを使うカクテルレシピでも、ドライ・ジンに少量の砂糖かシロップを加えても味の点ではほとんど差がないといわれる。
なかなかお目にかかりにくいジンであるが、猫の姿をした販売機の話など、ジンを傾けながら語るには今でも魅力的な酒といえるのではないだろうか。