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[ コラム ] 6月-26-2009

 北欧諸国では、アクアビットを冷蔵庫で強く冷やし、ストレートで飲むのが一般的だという。芯から温まり、食欲も湧いてくるという。ビールを飲むときなどは、冷えた胃をアクアビットで温めるために交互に飲む習慣もあるという。今回はその製法の話である。

 最初の発酵工程には二通りの方法がある。ジャガイモのでんぷん質を糖化酵素(エンザイム)によって糖化、発酵させる方法。または、麦芽によって糖化、発酵させる方法である。糖化酵素を使う場合は、ジャガイモ100%のアクアビットになる。

 発酵後は、連続式蒸留機でアルコール分95%以上のニュートラル・スピリッツを取り、加水してアルコール度数を調整し、薬草、香草類を加えて、さらに蒸留をする。ジンの製法によく似た製法だ。

 香りつけの違いによって個性が生まれるのだが、共通して使われるのがキャラウェイだという。他には、アニス、クミン、カーダモン、フェンネル、ディルなどが使われる。ジンと比べるとハーブ由来の香りが主体なので、アクアビットをハーブ・スピリッツと呼ぶこともある。

 さて、アクアビットは一般的に樽熟成はしないで無色透明のままで製品化されている。しかし樽熟成したアクアビットにも面白い歴史を持った種類が存在する。

 18世紀の歴史ある伝統を守っている樽熟成タイプの、リニア・アクアビット(Linie Aquavit:リニアは赤道の意味)である。当時は帆船だったので船の重心を下げるために、商品の他にアクアビットの樽を下部船倉に満載してオーストラリアへ往復したという。赤道を2回通過して持ち帰ったアクアビットは、色が薄い琥珀色になり、風味を樽熟成により工場していて珍重されたという。現在のリニア・アクアビットは、その故事にちなんで、ゆっくりと樽熟成し、樽由来の色と風味を持ったアクアビットの商品名となっている。