チョコレートに関するコラムも今回が最後である。チョコレートに興味を持ち始めると、手に取った時に原材料が気になってくる。最後の話は、ラベルの読み方である。
基本は、カカオ含有率である。70%のカカオが入ったチョコレートバーは、総重量の70%がカカオ豆由来の成分からできていることを示す。そのラベルに「カカオ、砂糖、カカオバター、レシチン、バニラ」と書いてあったとすれば、100グラム当たり、約63グラムのカカオ豆と約7グラムのカカオバター、約30グラムの砂糖からできていることになる。レシチンとバニラの重さはごくわずかである。
しかし、原材料の欄に「ミルクチョコレート」としか書いてないものもあって、混乱するのが現実だ。よく「砂糖、牛乳、カカオバター、チョコレート、レシチン、バニリン」という表示もあるが、もちろんチョコレートとはカカオ豆のことである。
アメリカの場合、ミルクチョコレートとは法的に少なくとも10%のカカオ(カカオバターとカカオ豆をあわせて)を含むもの指す。一般的にカカオバターの量は使われているカカオ豆のおよそ10%といわれているので、カカオ豆自体は10%を切っていることも多い。
特に注意すべきことは、原材料表にラクトースやホエイパウダー、ココアパウダー、麦芽エキス、乳脂肪、乳化剤(大豆レシチン以外のもの)などが書いてある場合である。特にダークチョコレートにココアパウダーが含まれていたら、とても疑わしい代物だといえる。
「最高」と書いてある高級品(=値段が高い)からといって、「最高品質」とは限らない。ラベルをよく読むことはとても大切なことだ。ウィスキーとチョコレートのマリアージュが話題になってから久しいが、お出しするチョコレートがお粗末であったら、せっかくのウィスキーも台無しになりかねない。今までのコラムが少しでもお役に立てば幸いである。