日時:平成24年10月3日(水)14:00~16:00
会場:bar Cooperage(船橋)
企画:竹田(BAR SAINT)
会費:500円(会員)、1,000円(一般)
題目:
ウイスキーの飲み方について
目的:
ウイスキーを美味しく楽しめる季節である秋冬に向け、同銘柄による飲み方別試飲と意見交換。またハイボールから一歩進んだ飲み方の提案、及びウイスキーを苦手とする方への提案方法の意見交換。
内容:
■シーバス リーガル 12y
比率の異なるハイボール(ウイスキー:ソーダ=1:3/1:1)
水割り(1:2)
■ザ グレンリベット 12y
ショットグラス
スニフターグラス
ロックグラス
■バランタイン 17y スキャパエディション
スニフターグラス
詳細:
サントリー社が勧める比率(1:3)で作られたハイボールと各店にて日頃作られている比率(1:1)によるハイボールを飲み比べて意見交換を行った。
前者はサントリー社が自宅で気軽にウイスキーを楽しめるように勧めていると考えられる比率である。飲み易く炭酸の爽やかさの後にほのかにウイスキーの香りが感じられる。食事中の方に勧めたい飲み方である。
後者は香りが強く、ウイスキーの特徴が先に感じられる。お酒自体を味わいたい方に勧めたい飲み方である。
続いて先ほどのハイボールと1:2の比率で作られた水割りを飲み比べて意見交換を行った。
前者は苦みが先に感じられるものの、炭酸の口当たりのおかげで飲み口は爽快である。
後者は口当たりは柔らかい。苦みが後から感じられるので少々重たく感じる。
次に同銘柄のウイスキーをショット、スニフター、ロックの三種類のグラスで飲み比べての意見交換とブラインドによる銘柄当てを行った。
ショットグラスは他のグラスに比べて香りが弱い。若さやアルコールの強さを個性とするものを進めたい場合の飲み方である。
スニフターグラスは香りを一番強く感じられる。熟成年数を重ねたものや個性的な香りを持つものを進めたい場合の飲み方である。
ロックグラスは空気に触れている面積が一番大きい為、香りが軽やかで味も柔らかである。お客さまの目線ではグラスに高級感と重量感が感じられ視覚的に楽しめる。半面、量が少なく感じられ損をしたようなマイナスイメージを与えてしまいかねない。
尚、上記銘柄は運営側が参加者に対してブラインドテストを試みた。「『シーバスリーガル』のキーモルトではない」「何処の店舗にも必ず置いてある」「1ショットの価格は1000円程度」というヒントが与えられ、参加者はグラス内のウイスキーの色や香り、味わいから銘柄名を予想し、制限時間内に配られた用紙に回答した。正解は『ザ グレンリベット 12y』であったが、特徴を感じにくく飲み易かったことから『グレンフィディック 12y』と答える参加者が複数いた。
また花岡氏は事前に正解を知っていたため、別銘柄でのブラインドが行われ、見事に正解したので、運営岩渕氏から先日3000本限定で販売された貴重なウイスキー『バランタイン 17y スキャパエディション』が振る舞われた。
上記試飲以外にも以下の点について意見交換を行った。
「琥珀色のアルコール度数の高いお酒を苦手とする方への勧め方」について。
フローラルやフルーティな香りのウイスキーを勧めてみる。
ジンジャーエールで割って提供する。
ウイスキーの個性が感じられるカクテルを提供する。
甘みをダイレクトに感じられるバーボンやすっきりして飲み易いカナディアン、アイリッシュを勧めてみる。
ビールやジントニックといった1杯目のラインナップとしてハイボールを位置付けて勧めてみる。
「ウイスキーを初めて飲む方への勧め方」
香りに特徴があるものを勧める。
加水して香りが開くジャパニーズウイスキーをソーダ割りやロックで勧める。
『ザ グレンリベット 12y』を始めに提供し、それを基準にお客さまと会話しながら方向性を決めていく。
「ハイボールの提供の仕方」について。
レモンピールや銘柄によってはオレンジピール、ミントの葉を添える。
『シーバスリーガル』の場合、摩り下ろしたばかりの生姜汁を加えて提供する。
『タリスカー』の場合、粗挽き黒胡椒を振り掛けてから提供する。
ブレンデットの場合、キーモルトを上に少量フロートさせて提供する。
ピート香に掛け合わせるように液体燻製機で燻製したウイスキーを使用して提供する。
上記のようにウイスキーにまつわる意見交換を幅広く行った。
総評:
個人的にウイスキーに携わってわずか1年足らずな為、今回のセミナーの内容に強く関心を持ち参加した。
他店舗でのウイスキーの提供方法や勧め方を伺えたこと、先輩方の勧め方だけでなく拘りや敬遠されがちなことに対するもどかしさ等も感じられ、ウイスキーにそれだけの魅力があることを再認識することができた。
特に当店では主にスニフターグラスにてストレートを提供していたので、他のグラスでの違いだけでなく、お客さまにどう感じてほしいか、何を感じてほしいかによって使い分けるとより効果的だという意見は大変勉強になった。
また元々ウイスキーを敬遠していた側として、この1年間でのウイスキーに対する接し方や感じ方、変化を参加者に伝えることで、今後の接客に何かしら参考になる部分があればと思った。
一つ個人的に非常に驚いたことは、つい先日『ザ グレンリベット 12y』を飲んだ際に感じた麦っぽさを、このブラインドでは全く感じられなかったことである。ウイスキーの難しさを感じる一方、奥深く表情を変えることの多いのもウイスキーの醍醐味であると改めて感じた。
以上
執筆者:四方貴(BAR D.D.ISLAND)