猿酒といった、本当にあったのか嘘なのか分からない古代の酒の話を続けたら、人類が生まれた地、アフリカの酒が気になってきた。第1弾は、ウガンダの酒である。
ウガンダはスーダン、ケニア、タンザニア共和国、コンゴ民主共和国に囲まれた内陸国である。ヴィクトリア湖という海のような湖があるので、陸地ばかりではない。
悲惨な内戦を思い起こす人が多いかもしれないが、そういう歴史がなければ酒で有名になったかもしれない。バナナ酒と雑穀酒を筆頭に、キャッサバ酒、糖蜜酒、パイナップル酒など、醸造酒の種類が豊富だ。
バナナ酒(アマルワ)は、100本のバナナから約180リットル造れるという。トロ(Toro)地方では穴を掘り、青い未熟のバナナを入れて4〜5日熟成させ、澱粉質をバナナ自体の酵素によって糖化させる。それから別の穴にバナナの葉を敷き、皮をむいたバナナを入れて、水を加えて足踏みで搾汁し、エソホ(esojo)という草を加える。このジュースを丸木舟状の容器に移して、2日間発酵させると出来上がるらしい。
雑穀酒は、キゲチ(Kigezi)地方では粉にした穀粒に、一部を発芽させてから粉にして混ぜ、温めて約3日間糖化を行う。これを蒸煮して発酵糟に移し、温水を加えて発酵させ、別の容器に移して火入れをする。
ちなみに、雑穀酒を飲むときはストローで飲むらしい。酒をストローで飲むと酔いが早く回るというのは、医学的にも根拠のない噂話。カクテルのストローも、早く酔わせるための道具ではありませんよ。