ラムは、フランス語では「ロム(Rhum)」、スペイン語では「ロン(Ron)」、ポルトガル語では「ロム(Rom)」とつづる。いずれも英語の「ラム(Rum)」から転化したという。
ラムの誕生地は西インド諸島。その酒名も西インド諸島で生まれた。しかも、英語の単語から生まれたというのが英語学者たちの説である。その根拠になっている一節が、17世紀、チャールズ二世時代のイギリス植民地記録に残っているという。「サトウキビから蒸留した強烈な酒を、生まれて初めて口にした島の土着民たちは、みな酔って興奮(ランバリオン:rumbullion)した」という一節である。
このランバリオンという英語は、現在は廃語となっているそうだ。この語頭の部分が残って、「ラム(Rum)」という酒名になったというのが英語学者たちの説だという。
その他にも、サトウキビ属名のラテン語「サッカルム(Saccharum:糖の意味)」の語尾から「ラム(rum)」になったという説もある。多彩な顔を持つラム。名前の由来もいろいろあってしかるべきなのかもしれない。